
高岡に培われた伝統技術が生んだ、世界初の鋳造製蒸留器「ZEMON」
Cat: | ウイスキー 知る |
---|
「ZEMON(ゼモン)」は、富山県高岡市の伝統工芸である高岡銅器の技術を活用して開発された、世界初の鋳造製ポットスチル(蒸留器)です。この革新的な蒸留器は、三郎丸蒸留所と、高岡でもっとも歴史ある銅鋳物メーカー老子製作所さんの共同プロジェクトにより誕生しました。
【世界初鋳造製ポットスチルZEMONの特徴】
➀高寿命・高いメンテナンス性
従来の蒸留器は銅板を叩いて曲げる鍛造技術で製造されており、製作に時間と手間がかかる上、長期間の使用で薄くなり、最終的には穴が開くという課題がありました。
一方、ZEMONは鋳造技術を用いることで肉厚の銅製蒸留器を実現。さらに鋳型の複製により、消耗したパーツのみの交換も可能です。これにより長寿命化と高いメンテナンス性を実現しています。

➁よりまろやかで高品質な酒質に
一般的な蒸留器は銅製ですが、ZEMONには銅と錫の合金である青銅が使用されています。これにより蒸留時に硫黄化合物を効果的に吸収し、錫の効果でよりまろやかで高品質な蒸留酒の製造を可能にします。
また、鋳造によって生まれるZEMON(ゼモン)には、表面に砂型による凸凹がついています。この凸凹により蒸気との接触面積が増加し、銅と錫の効果を最大限に引き出しています。

➂省エネルギー化
ZEMONに使用されている青銅は、熱伝導率が純銅と比べ約1/8と低く、さらに肉厚で鋳造されているため、蒸留時の熱が逃げにくい特徴があります。そのため、従来の蒸留器と比べ、同じエネルギーを使用して蒸留できる量が188%アップするなど、高いエネルギー効率を実現しています。

現在、ZEMONは三郎丸蒸留所だけでなく、岐阜県の飛騨高山蒸溜所など他の蒸留所にも導入されており、日本のウイスキー業界に新たな風を吹き込んでいます。高岡の伝統技術と革新が融合したZEMONが、今後も多くの蒸留所で活躍し、世界のウイスキー製造に貢献していくことを願っております。